このたび京都府亀岡市のお客様から亀文堂初代波多野正平の鉄瓶を買取させていただきました。
初代亀文堂正平は幕末から明治中期に活躍した鋳金家で、重厚にして迫力ある造形の鉄瓶で有名です。京都の二代目竜文堂四方安平に17年間師事し蝋型鋳造を学び、独立して近江の能登川に工房を構えます。
彼は中国の青銅器の造形に想を得た、山水などを浮き彫りにした独特の鉄瓶や茶道具、文具などを作り続け、その独特の風格により一家を成しました。
亀文堂は戦後昭和23年ごろまで続きましたが、蝋型鋳造は砂型を使う一般的な鉄瓶と異なり高度な技術が必要で、しかもコストがかさむため三代目で途絶えてしまいました。
近年、中国の富裕層の間で亀文堂のダイナミックな意匠の鉄瓶が人気を博し、オークションなどで初代の作であればその希少性から数百万の値が付くこともあります。