京都市右京区嵯峨嵐山のお客様より美術品の相続の相談で橋本関雪の書画の査定鑑定及び買取の方をさせていただきました。
関雪は神戸生まれの帝室技芸員で日本画や書を能くしました。自身も美術品の蒐集家であった彼の美意識は非常に高く、個人的には猿の絵が非常に味わい深いと思います。
東京芸術大学に収蔵されている玄猿は関雪の妻への思いが込められている名作とよく言われますが、まさにそのとおりで、毛並みの一本一本の脈動感や二匹の猿の微妙な表情の違いも感じ取れる、非常に感傷的な作品です。
動物の表情をここまで絶妙に表現するのは、単に写実性が高い他画家の作品とは一線を画していると言えます。
今回は扁額の書や山水画が中心でしたが、中国美術にも傾倒していた橋本関雪ならではの作風の優品と言えるでしょう。