このたび愛媛県今治市のお客様から真清水蔵六の煎茶道具を買取させて頂きました。
蔵六は幕末の京都で新たに一家を成した陶工で、初代、二代ともに天皇陛下の茶器を謹製した名工です。その名跡は今も続いています。
初代は十三歳で和気亀亭に入門し、十七歳で早くも青磁の焼きだしに成功するなど師を上回る才を発揮。中国や朝鮮の陶磁器を研究し、二十二歳で五条坂に開窯して名を蔵六と改め、妙法院宮の知遇を得て真清水の姓を与えられました。後に千宗室に学び孝明天皇の茶器を製作しています。
二代も名工として名を馳せ、自ら中国や朝鮮に渡り陶磁器の研究をし、明治17年には京都博覧会にて褒状、南都博覧会にて一等金賞を受賞。昭和元年の天皇陛下御大典で茶器を謹製しています。
また、初代、二代とも明治政府の後押しで万国博覧会に積極的に参加し、海外でも高い評価を受け欧米にも多くのコレクターがいます。
蔵六は国内と国外では作風を異にし、国内で評価が高いのはやはり茶器です。特に明治期になると煎茶期の需要が急増したため、趣向を凝らした煎茶道具の名品を数多く残しています。