このたび愛媛県松山市のお客様から呉昌碩の書を買取させていただきました。
呉昌碩は近代中国美術界で文人画の最後の最高峰とされる人物で、詩・書・画・印のいずれもずば抜けた才能を発揮し「四絶」と称されています。
特に古代の金石学を研究した篆刻と書は彼の真骨頂で、中国のみならず当時の日本の書家や芸術家に多大な影響を与え、書家の日下部鳴鶴、首相の犬養毅、画家の富岡鉄斎など名だたる著名人が呉昌碩に自印を発注しています。
また日本の芸術界とも盛んに交流を行い、1920年には東京と長崎で書家展を開催しています。そのため当時日本にも多くの呉昌碩の作品が流入しました。
近年の中国の経済発展と共に自国の英雄である呉昌碩の作品を手に入れたい富裕層が増え、その評価がさらに高まっています。
呉昌碩の作品を日本国内で見たい方は、彼に傾倒しその彫像を作った文化勲章受章彫像家・朝倉文夫を記念した台東区立朝倉彫塑館で呉昌碩の作品群が常設展示されています。近代中国美術の傑物の作品を、ぜひ一度ご鑑賞してみてはいかがでしょうか。