このたび東京都港区のお客様から豊臣秀吉の書状と印籠を買取させていただきました。
秀吉は非常に筆まめで、秀吉の花押がある書状は確認されているだけで1700通余り。これは織田信長、徳川家康を圧倒的にしのぐ多さです。ただし、多くの書状は正式な文章を書く祐筆と呼ばれる役職の従者に書かせたものを秀吉が確認して花押をしたためたものです。
もちろん書状としては当時の世情や秀吉の性格を知る上で大変貴重なもので、研究者や好事家の間では大変高値で取引され、内容次第で数百万円する書状も数多く存在します。実際の秀吉直筆の書状は100通ほどが知られ、カタカナが多く誤字もありますが非常に伸びやかで溌溂とした筆致でしたためられています。
秀吉は農民の出で他の戦国大名のように幼少期に教養を得る機会はありませんでしたがその分筆は自由闊達で個性があり、能書家で知られる北大路魯山人も新たに三筆を挙げるのであれば秀吉もその一人に数えられると絶賛しています。