音丸耕堂作品の買取について
藝品館では音丸耕堂作品の買取査定を行っております。
音丸耕堂の漆芸作品・彫漆作品等の売却や鑑定をお考えの際は、是非お気軽に当館へご相談ください。責任ある評価・査定を行い、現在の流通価格に沿った適切な買取価格をご提示いたします。
音丸耕堂という人物
音丸耕堂 (おとまるこうどう 1898-1997) は香川県生まれの漆芸家です。
明治31年に高松市古馬場町に生まれた耕堂は、讃岐彫の石井聲堂の内弟子となりました。
小刀の扱いの修行ののち、玉楮象谷に傾倒し彫漆家を志します。その後東京美術学校に学び、大正11年に高木吉直から茶道、漢文、漢詩等の指導を受け耕堂の雅号を授かりました。
昭和7年には第十三回帝展に初入選するも病に倒れ、その後重要無形文化財人間国宝に認定されます。
音丸耕堂の彫漆
漆芸といえば日本の伝統的美術工芸品である蒔絵が思い浮かびますが、音丸耕堂が目指したものは彫漆です。
彫漆は、何回も非常に長い時間をかけて塗りあわせた漆の層に文様を掘り出していく技法で、主に中国で伝えられていた技術です。日本では室町時代より始まり、江戸時代には堆朱楊成や玉緒象谷などが作品を残しています。
紅花緑葉をはじめ五彩で制作された彫漆は多くありますが、耕堂の作品は草花文様や彫りにしても刀の切れ味を感じるようで、難しい彫漆の彫りの中に自由自在に彫り込んであり天性の才能を感じます。
彫漆は非常に手間がかかるもので、一回の塗りに2日、その塗を100回も重ねるとすると、塗だけで数百日かかることもしばしばで、そこから色相の配分を考え文様の考案とともに実際に刀で彫っていくには、想像を絶する時間と手間のかかる作品です。
音丸耕堂年表
明治31年 | 高松市古馬場街に生まれる |
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明治42年 | 高松市西瓦町尋常小学校を卒業、高松市紺屋町の音丸ヨネの養子となる |
明治43年 | 高松市内町、讃岐彫の木彫家石井聲堂に弟子入する |
大正3年 | 養母ヨネの看病のため聲堂塾を離れ自営する |
大正4年 | 養母ヨネが亡くなり、この頃より香川漆芸の第一人者であった玉楮象谷を強く私淑し、彫漆の道を志す |
大正9年 | 日本画を穴吹香邨、書を入谷香涯に学ぶ |
大正10年 | 香風会設立 |
大正11年 | 高木吉直の献上品制作専従し、雅号「耕堂」を授けられる |
昭和元年 | 高松松交会設立に伴い、先代官休庵宗匠から指導受ける |
昭和4年 | 官休庵宗守好み堆黒讃岐富士香合制作 |
昭和7年 | 帝国美術院第十三回美術展覧会に彫漆双蟹手箱が初入選 |
昭和8年 | 磯井如真・岡田章人と工会(たくみかい)を結成、漆芸の研究 |
昭和9年 | 香川県より県工芸美術研究会の委員に任命される |
昭和11年 | 文部省美術展覧会に堆朱八稜菓子器を出品 |
昭和12年 | 第四会香川県工芸美術総合展覧会に堆朱菓子器を出品、官休庵の国際茶会に協力 |
昭和13年 | 文部省第二回美術展覧会に彫漆昆虫譜色紙箱を出品し、特選候補作品に選ばれる |
昭和14年 | 香川県工芸美術総合展覧会に色紙箱
日本漆芸会展に彫漆作品を出品 |
昭和15年 | 紀元二千六百年奉祝美術展覧会に朝顔の図彫漆手筥を出品 |
昭和16年 | 文部省第四回美術展覧会に彫漆百合手箱を出品 |
昭和17年 | 文部省第五回美術展覧会に彫漆月の花手箱を出品 |
昭和19年 | 第十回香川県美術展覧会に香盆を出品 |
昭和21年 | 第二回日本美術展覧会に彫漆宵待草手箱を出品 |
昭和22年 | 第十二回香川県美術品展覧会に香炉を出品
第三回日本美術展覧会に彫漆南瓜文手箱を出品 |
昭和24年 | 第五回美術展覧会に彫漆水葵文風炉先屏風を出品し特選を受賞 |
昭和25年 | 第六回日本美術展覧会に彫漆谷間の百合屏風を出品 |
昭和26年 | 第七回日本美術展覧会に彫漆風炉先屏風を出品 |
昭和27年 | 第十七回香川美術品展覧会に彫漆浦島草香卓を出品
第八回日本美術展覧会の審査員となり、彫漆月兎手箱を出品 |
昭和28年 | 第十八回香川県美術品展覧会に薬草の図干菓子盆を出品
一家で上京し第九回日本美術展覧会に彫漆小屏風雨の芙蓉を出品 |
昭和29年 | 第十九回香川県美術品展覧会に彫漆水葵手箱を出品 |
昭和30年 | 重要無形文化財「彫漆」保持者に認定
社団法人日本工芸会設立に参画 |
昭和31年 | 社団法人日本工芸会理事就任 |
昭和33年 | 第五回日本伝統工芸展第一次鑑査委を務める |
昭和36年 | 第八回日本伝統工芸展に彫漆手箱出品 |
昭和37年 | 第九回日本伝統工芸展に彫漆秋草文手箱を出品し第一次鑑査委員を務める |
昭和38年 | 第二十八回香川県美術品展覧会に香炉を出品
第十回日本伝統工芸展に彫漆銀連糸茶入を出品し第一次鑑査委員を務め、文化財保護委員会(現在の文化庁)の依頼を受け記録作成 |
昭和39年 | 社団法人日本工芸会の常任理事に就任 |
昭和42年 | 69歳にして紫綬褒章を受賞 |
昭和45年 | 四葉文菓子器を宮内庁へ納める |
昭和55年 | 日本書道美術館で個展を開催 |
昭和58年 | 東京国立近代美術館で彫漆延齢草水指など出品 |
昭和59年 | 香川県文化会館で音丸耕堂回顧展を開催 |
平成9年 | 99歳で死去 |