能管の買取について
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能管とは
能管は日本特有の管楽器で、能や歌舞伎の「囃子(はやし)」に使われる横笛です。小鼓、大鼓、太鼓と共に能の四拍子を構成し、能で唯一旋律を司るため演じる上で必要不可欠な楽器です。
能管の外見は雅楽に使われている竜笛とほぼ同じで、平安時代に貴族の間で広く嗜まれた竜笛を参考に作られたことはほぼ間違いありません。音律を調整する指穴も同じく7つです。
しかし能笛の内側には息を吹き込む歌口と指穴の間に「喉」と呼ばれる竹製の挿入管が入っており、これが指の穴で奏でる音色以上の高音域を生み出します。能で「シノギ」と呼ばれ舞台の終わりに奏でられる「ヒーヤーヒー」という力強く緊張感ある高音は、この喉が無ければ実現できません。
また能管は一本一本出る音色が全く異なるため、同じ演奏者が同じ吹き方をしても、各能管が奏でる音はそれぞれ全くといって良いほど異なります。そのため能管は演奏が非常に難しい楽器です。
能管は文字通り能の舞台で使う楽器なので、その誕生も能と深く関わりがあります。
現在の神や鬼、霊などが人の前に現れ身の上話や土地の伝承を語る「夢幻能」を大成させたのは、室町時代初期に活躍した世阿弥です。当時武家や文人の間では禅や老荘思想が浸透し、幽玄の世界を尊ぶ気風が醸成されていました。そのような中、神秘的な世界を演じる能は広く世間に受け入れられ、各地で演じられます。
一方で日本には神道があり、やはり霊がこの世とあの世を往来するという世界観がある、当時の人々もその世界を信じていました。神道には「神おろしの儀」と呼ばれるものがあり、縄文時代から石笛と呼ばれる笛が使われてきました。
石笛は非常に高音域の音が出るため、あの世を表現する能でも聴覚としてこの石笛の音色を再現したいと考えたのは想像に難くありません。
実際、能笛も石笛と同じくらいの高音域を表現でき、しかもその周波数は人間が聴きとれる20Hzを超えています。しかもこの高音域は耳では聞こえませんがβ波として脳には伝わっています。β派は脳に伝わるのが早く脳や筋肉に緊張感をもたらします。
当時はこのような科学的なデータはありませんが、能笛を作った人は経験的にこのことを理解していたに違いありません。能管も別名「神おろしの笛」と呼ばれています。
現在は安いプラスチック製の能管もありますが、プロ演奏者が使う能管は100年200年を経た煤竹を使って作られます。
また外観は漆が塗り重さねられ、頭の先端には金属の飾り彫りが嵌められていることが多く美しい工芸品のような雰囲気を醸し出しています。
能管は吹くほどに音色に深みが増し、100年してようやく本来目的とする音色が奏でられると言われています。乾燥を嫌うため定期的にお手入れが必要ですが、能管を手にすれば日本人の美意識と精神をそこに見ることができでしょう。