空中とは
空中(くうちゅう)とは本阿弥光悦の孫、本阿弥光甫の号です。光甫は光悦に劣らぬ芸術家でした。家職である刀剣鑑定はもとより、茶道は織部流をよくし、また香道もたしなみました。
その作になる陶器はすこぶる風韻雅致に富んだものですが、晩年は信楽の土をもって香合を作り、また長門萩焼から参考に萩風の独自の茶碗を焼きました。これは空中信楽と呼ばれ、珍重されました。
また彫刻にも秀でていました。光甫作の茶杓に、虫めがねでみなければならないほどの細字で、「空中」と針彫したものがありますが、これからみても、彫刻に長じていたことが想像できます。